『エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ』
『エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ』
Filmarksで募集していた試写会に当選したので、人生初の試写会にて。
場所は渋谷ユーロライブ。
ユーロスペースは良く足を運ぶが、こちらは初めて。
普段は演劇や舞台用途の箱か。
当初この映画にはマーケティングの打ち出し方から、SNSを駆使する今どき女の子によるティーン映画、といったステレオタイプな印象を受けたので、正直あまり興味を持っていなかった。
だが、オバマが2017年の年間No.1に選出し、キュアロンが「ここ最近で一番泣いた」と言っているようなので、試写会に当たったし時間も調整出来そうなのでいっちょ観てみるか、くらいの軽めのスタンスで臨んだのだった。
結論から言うと、多感な10代の一時期をシリアスに捉え、SNSやYoutubeといった現代的なツールを多用するものの、少女の心理をリアルに描写した、繊細かつ感動的な素晴らしい青春映画でした。
開始間もなく襟を正し、終了時にはハンカチを握りしめていた。
「売り方」として間違っているとは言わないが、恣意的に色を付けずにこの映画の本質的な魅力を前面に出した方が、結果興行的にも評価的にも良いのではないかと鑑賞後思う。
主人公は中学卒業(Eighth Grade)を1週間後に控えた少女ケイラ。
思索的で好奇心も旺盛、自己主張もしたいし、それによって認められもしたい。
表現の仕方は違えど、同じような感情を内面に抱えていた、かつて少年・少女だった大人たちの琴線に、ケイラの心の機微がビシビシ響く。
エポックメイキング的なある一つの出来事によって物語が劇的に進むわけではない。
ケイラは日々挑戦し、失敗し、落ち込み、反省し、そして乗り越え、少しづつ成長していく。
それを見守る父親の姿がまた良い。
シングルファーザーの父親は、母親不在の環境に責任を感じながら(そこの経緯はほとんど描かれないし、それでいいと思う)ひたすらケイラを愛し、大切に力強く見守る。
クライマックスといえる夜の庭のシーンにおける父親の語りは、涙なしには見られなかった。
監督のボー・バーナムは本作がデビューで、Youtuber出身。
音の使い方が節操無くて巧みで面白い。
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